”永遠の0”を見た

honest152013-12-28

ミリオンセラーの本は、読んでないけど、
NHKラジオでの原作者の、試写で5回も泣いた、というコメントに
引っ掛かり見に行った。
見終わっての最初の感想は、この原作者のマーケティング力。
ゼロ戦戦闘機世代だけでなく、孫を登場させ、若者視点でも、ゼロ戦時代に興味を持たせた。
嫁、子供のためにも、死ねない、生きて帰る、と言う姿勢は、女性の共感も得た、と思われる。
太平洋戦争が終わって60年以上経ち、生きて帰ってきた兵士も、80歳を超え、生き語りもできる時も、あとわずかというタイミング。
デビュー作とは、思えない優秀なマーケッター。


鹿児島の知覧の特攻隊ミュージアムへ行った時、隊員の遺書を見て、
ショックを受けた。お国のため、立派に成功してきます、という文章の行間に、生きている人間の心が迫ってきた。
その後、靖国神社に行った。
ここでも、同じような文章に出会った。
しかし行間からは、知覧のような悶々とした魂の叫びが、感じられなかった。
ここの展示が、太平洋戦争は、やむなく開戦し、必要な戦いであった、という上から目線での展示だったからだと思う。


さて”永遠の0”は、どう描くかと、興味を持ってみた。
上から目線か、現場兵士目線かと、問えば、決して上から目線では
なかった。
特攻隊という、必らず死にいたる戦術は、今の時代誰も認めない。
だが、あの時代国のためと、自ら志願して散って行った事実。
特攻隊という言葉には、誰も逆らえない一種の美学があるのか?
一刀両断に、狂気の特攻隊戦法、と言い切れない日本。
そんな日本という国民の、不可思議な心情を、巧みに誘導した
映画だった。


この映画を見たのが、12月25日。
コメントを書こうと思ったら、翌日安部首相が、靖国へ行った。
書く気が無くなった。
安部首相も、不可思議な国民感情を読み切ってるのか?
きっと、彼もこの映画を見て、英霊に祈りを捧げると言う気がする。
この不可思議な、日本、益々諸外国からは、理解できないミステリアスな国になっていきそう。
そんな事から、戦争になってしまう事がないことを、祈りたい。