徳山ダムの湖底は、もう明日限りで歩けなくなる。

honest152006-09-17

構想50年の徳山ダムが、大詰めを迎えてる。
この9月25日からダムに水を入れ始める。
水が貯まると、何と浜名湖の倍になる。
勿論日本一の貯水湖になる。
その水の中に、徳山村を含む466世帯の故郷が沈む。


昨日、朝早く起きて、徳山ダム湖底探訪に出かけた。
ホームページで見ると、1回40人位しか見られないとある。
着いたら、もう50人も待ってる。
雨の中、1時間以上の待ちになったけど、昨日は5台もバスを出したので、
湖底まで行く事が出来た。
ダムはロックフィル。御母衣ダムと同じ。高さは161m。
もう工事は終わって、後片付けが始まっていた。
湖底からは、川の流れは見えるけど、廃村は見えない。
記念に、湖底に沈む黒い石を1個持ってきた。


随分前から徳山ダムの是非論が戦わされ、それでも進んでいったダム工事。
岐阜人としては、長良川水系の河口堰の時の”何でこんなの作るの?”という気持ちが再び湧き上がってくる。
この徳山ダムは、今は治水、利水、電力供給といった多目的ダムと言ってる。
50年前構想が発表され、調査に着手した時は、電源開発促進法に基づくスタート。
20年たって、水資源開発公団に事業が継承された。
という事は、最初電力開発、その後社会情勢の変化によって、治水、利水にウエイトがかかってきた。
河口堰も、その建設目的がころころかわってきたと同じように、徳山ダムの作る目的は、
あいまいになり、要は、「作ると決めたから、作るダム」になっている。


利水は、河口堰でも周辺自治体から負担金をもう負担しないという話が出てきた。
この徳山ダムも利水としての機能は、代替施設がある。
電力も5万世帯の電力供給のダムでは、電力会社もそれほど食指が動かない。
一番声を大にしてる、治水。
洪水は、さすがに、キチンと対応が必要である。
下流大垣市が水の都と言われてるのも承知してる。
でも、この徳山ダム下流に、既に横山ダムがある。
このダムの対応で、それなりの洪水対策ができる。


それでも50年前に動き始めた公共事業は、3353億の事業費をつぎ込んで、
徳山村を廃村にし、村民に賠償金を払い、村民も一時的に舞い上がり、立派な家を新築した。
集団移転した場所では、陥没があって、家が本当に傾いたりした処もあるそうだ。
生活、仕事を変える事も大変な事。
1583人もの人がこのダムによって、学んだ小学校も湖に沈み、想い出も沈んでしまうかもしれない。
イヌワシ、クワタカもいる。2万年前の縄文遺跡もある。
この徳山村は、山が深い。連続して山があり、谷がある。
だからダムに適してると白羽の矢がたったのだろう。
住んでる人から見たら、”何で?”と思う物事の決定システムだった。
こんな決定システムはやはりやめなくてはいけない。


裏金問題で、総点検を始めた岐阜県の古田知事、物事の決定システムも総点検しようよ。