【特別寄稿第4弾】 くじらに逢いたい

honest152006-02-13

初めまして。
管理人殿をボスとお慕いしているりんこです。
光栄なる特別寄稿シリーズに喜び勇んで参加させていただきます!
特別寄稿第4弾は沖縄を愛する私からくじらのお話を。。。


毎年12〜4月ごろになると沖縄本島慶良間列島近辺では
「ザトウクジラ」が繁殖、出産、子育てのためにやってきます。
ザトウクジラの妊娠期間は11ヶ月ぐらいと言われており、
前年にこの海で恋をして、アラスカやベーリング海などを回遊し、
また沖縄に戻って赤ちゃんを産み、育てるのです。
まさに「里帰り」をしています。

初めてホエールウォッチングに行った3年前、
遠くから5〜6頭が群れて遊びながら移動している姿を見ることができました。
その雄大さと綺麗さと迫力に魅せられて翌年も同僚を誘って見に行きました。
今年も愉快な仲間たちを誘って、初の座間味島でのウォッチングです。
座間味島は「くじらのふるさと」と呼ばれるほどくじらに愛される島なのです。


那覇から西へ40キロ、高速大型船「クイーンざまみ」で50分。
かなりの早起きでほとんど寝ていましたが、
寝ていたせいか(笑)あっと言う間に座間味島に到着です。
港に着くと、港ターミナル内にある
座間味村ホエールウォッチング協会」の展示を見ました。
ここでは当日のくじら出現ポイントや
固体識別をする尾びれの模様写真、くじらの行動パターンなど
手作りで気持ちのこもった様々な展示があります。
また、座間味村のHPにはこんな表記があります。
「ホエールウォッチングは、野生クジラの暮らしぶりを覗くことをいいます。」
決して餌付けなどで呼び寄せているのではない、
自然の姿を邪魔しないようにウォッチングするのです。


大海原でくじらを探すのに目印となるのが「ブロウ」。
これは水面から息を「プシューッ!」と噴き上げるおなじみの行動です。
くじらの潜水時間は15〜20分程度で、呼吸のために水面近くで「ブロウ」を数回したのち、
「フルークアップ・フルークダウンダイブ」といって
尾びれをまっすぐ水面から持ち上げ、ふたたび潜水していきます。


さて、港で小型ボート「セティウス号」の準備ができ、いよいよ出発!
30分ほど沖へ向かい波しぶきを上げてぐんぐん進んで行きます。
先に島のすぐ近くで、親子くじらを見つけてウォッチングしている船が5隻くらいいたそうなのですが、
そこに加わってしまうと、混雑するとともに、くじらにストレスを与えてしまうらしく、
私たちの乗った船は別のポイントへと向かいます。


連携のとれたネットワーク(島の展望台から位置を探して携帯電話でそれを伝えています)と
船長さんの長年のカンで辿り着いた発見ポイントで停船し、
くじらが出てくる方向を探して360度見渡します。
乗船しているスタッフの方と私たちを含めて15人くらいで、
それぞれ無言で波間を探し続けること数十分。
くじらはいるのか?もうどこかへ行ってしまったのかな?
本当はもっと短かったかもしれませんが、とても長く感じる時間でした。

・・・

曇天の暗い海の色、時折雲の切れ間からのぞく太陽でよく見えません。
白い波が立つたびに、くじらがいるのではないかと見間違えてしまいます。

・・・

スタッフの女性が指をさして声を上げました!
「そこ!ブロウ!」


いた!しかも船のすぐ近くに!!
しぶきをあげて息をはく音が聞こえます。
手を伸ばせば届きそうな距離に黒い背中が見えます。
しかも2頭!!
ブロウをし、ゆっくりと弧を描いたように背中を見せ、
その後を一拍遅れてもう1頭が同じようにブロウします。


黒い背中に太陽が反射してキラキラ光っています。
肌の質感までもが伝わってきます。
こんなに近くまで来てくれた!
数回ブロウをした後、挨拶をするように
船の真横でゆっくりゆっくりとテール(尻尾)をあげて潜っていきました。
とてもキレイに尻尾の形がはっきりと見えました。


その後、潜水時間を計り、またブロウでその方向を見つけ、
フルークアップダイブを見て、また潜っていく・・・というのを2〜3回。
くじらの体長は15メートルくらいあり、
一度潜水して移動してしまうととても遠くまで行ってしまいます。
船はブロウした瞬間にその方向へ近寄り過ぎないよう距離を保って近づきます。
最後のダイブを見送るときに、いままでと少し違う動きをしたので
珍しいアクションが見られるかもしれないと、
船長さんとスタッフの女性が、「あと1回様子を見よう」とおまけしてくれ
船の帰港時間を過ぎても見守っていました。


船長さんが港に電話をして、笑いながら
「船の様子がおかしいから帰れない」って言い訳していました。
普通に動いていますよ?
もしかしたら一番港に戻りたくないのは船長さんだったかもしれません。
おまけの1回はとても潜水時間が長く、
予想に反し派手なアクションはなく、船から離れた場所でブロウを数回とダイブをし、
また2頭仲良く潜水していきました。


港へ帰る船の中で初めて知ったことがあります。
ザトウクジラは唄を歌うそうです。それもラブソングを。
6小節くらいのちゃんとフレーズがある唄で、
毎年流行があったり、グループによって違ったり、
最後の2小節は前年の唄に似ていたりするそうです。
ロマンチックですね。


港へ戻り、思い思いに帰りの高速船の時間を過ごします。
いつの間にか太陽が顔を出し、暖かな日差しに変わりました。
写真を撮る人、海岸で貝を拾う人、散歩をしに行った人。
そして高速船に乗り、座間味を後にします。
はしゃぎ疲れてうとうととしているとアナウンスが・・・


「ただいま左手前方にブロウが確認されました」


慌てて左側の窓に駆け寄りへばりつくと
高らかにテールを揚げて勢いよく振り下ろす
「テールスラップ」というアクションが見れました。
遠くにいるはずなのですが、かなりの迫力です。
本当は大きな音と水しぶきを上げ、
ライバルや船を威嚇するときにみせる行動なのですが、
なんだか見送ってくれたように見えました。
粋なアナウンスに感謝。


何十年も前、捕鯨が盛んだった頃に次々といなくなってしまったくじら達は
20年前にやっと座間味に戻ってきたそうです。
その翌年以降も、冬がくるたびに仲間を連れてやって来て、
今では座間味を中心とした沖縄近海に、年間200頭近く里帰りしています。
くじら達がまた安心して沖縄に帰ってこれるように
座間味島をはじめ、沖縄本島や周辺諸島の人達は
きっといろいろな努力や苦労を続けていることでしょう。


くじらと沖縄が大好きな私も、
綺麗な海や島を守っていけるように
当たり前のこと、小さなことを積み重ね
少しでも協力していきたいと思っています。


来年もきっと逢いに行きます。
そしてくじらに問いかけてみますね。


Do you love the zamami?
and Do you love the earth?

see you next yaer!