アメリカも不思議な国だ。
「United93」を見た。
9.11をどう描いてるかを知りたかった。
この機だけが、唯一乗客との会話があった。
機内の電話であったり、地上に近づいての携帯での会話であったり。
家族との会話のヒアリングと、管制、軍のデータ分析という厖大な作業の上でこの映画は出来た。
映画は淡々と、状況を描写してゆく。
外部との連絡で、トレードセンターが爆破された事がわかり、
更に自分達のパイロットが殺された事を知り、乗客達は行動に移る。
テロリストと対決する前に、武器となるものを集め始める。
フォーク、ナイフは勿論の事、熱湯、消火器、バッグも武器として揃える。
テロリストを拘束したあと、操縦できる人間も乗客の中に見つける。
元管制官も乗客にいる、医者もいる。
ホワイトハウス突入を考えていたテロリストの行動を、
自分達の犠牲を覚悟で阻止しよう、と言う風に描けたかもしれない。
でもこの映画は、乗客達は、阻止し、自分達も助かるんだという視点で描かれていた。
結果としては、ジャクスンヴィルで墜落し乗客、乗員全員が死亡する。
良くあるアメリカ美化主義で描かないで、淡々と乗客と、
後手後手で対応に追われる管制、軍を描いていた。
見て感じた事。
・これだけの大きな事件は、少しでも事実に沿って、形にする必要があるという事。
そういうのが当たり前になれば、イラク戦争も事実に沿って形にしていく事ができる。
・管制官、連邦航空局、軍、ホワイトハウスの連携がうまくいかないこと。
多分世界で最も進んだ危機管理システムを持つと思われるアメリカでも
縦割り行政の弊害で、後手後手。
これは、今後の危機が起きた時に、お上の言う事を待っててはいられない
事がわかった。
それにしても、あの時刻アメリカには4200機の飛行機が飛んでた。
事故はおきるな、これからも。
・乗客に飛行機を操縦できる人、管制がわかる人、医者と様々な専門分野の
職業の人がいた。
日本だとビジネスマン中心で、多分殆ど何も対応できない。
日本ももっと様々な職業の裾野を広げるべきだろう。
・衝撃的な事は、アメリカ大統領はこのUnited93の撃墜を命じてた事。
乗客が自分達の命と、テロリストのターゲット阻止のために動いたとしても、
この飛行機の命は結局なかったこと。
今テロとの戦いで声高で叫べば叫ぶほど、こういった決断をトップはするだろう、
という暗示が心底怖い。