女子フィギュアは結構残酷なスポーツ。

honest152006-12-30

初めて女子フィギュアを生で見た。
前から3列目、選手の息まで聞こえそう。
はるばる東京から、見に来た87と3時間前に会場へ。そのまま席に。


6人が滑り終えた次のグループから見る。
名もしらぬ選手が、ウオームアップ、本番へと滑っていく。
第一印象。 ”綺麗”。
選手が細く見え、スタイルもいいし、顔も美しく引き締まっていて、綺麗。
眼が獲物を狙う豹のよう。鋭い。
気合も入ってるのが、伝わってくる。
見事にジャンプをきめ、足を後ろに上げたり、前に上げたりしてる。
時には淫らに見えるポーズ。
16歳から高校生の選手も多いのに、大人の女に見える。
研ぎ澄まされた世界にいる時、女性は進化を遂げているように見える。


それでも転ぶ。
きっと足や体は捻挫とか、骨折の跡とか、あざだらけだろう。
氷の上で、あんなに綺麗に見えるのが、テレビのアップでは、どうと言う事はない。
このギャップは何でだろう?
昔から、「夜目、遠目、傘の内」と女性が綺麗に見える状況を説明してきたが、
これに、スケート場を加えたらいい。


技術も優れて、美しさも表現しないといけない世界は、女子フィギュアがその頂点だ。
愈愈最後の6人のグループになった。
6人の6分間のウオームアップが始まった。
今までのグループの時とは、全然違う。
会場がピーンと張り詰めてきた。
選手がそれぞれ自分の滑り、ジャンプのチェックしてる。
見てないようで、視野にはライバルの滑りが入ってるだろう。
中野の滑りが凄くいい。
真央ちゃんは、もう既に別世界。
16歳なのに、女王様。
美姫がスリムに見える。綺麗だ。妖艶とさえ見える。
舞ちゃんも、このメンバーでは重いだろうけど、和の世界の美しさを感じた。
村主は、小さく見えた。


フリーが始まった。
恩田は、今一。
中野は、切れ味良く、素人が見てても小気味いい。
それでも転ぶ。
即座に観客から、”頑張って”という掛け声が跳ぶ。
まるで、歌舞伎の世界。
中野はその後見事に滑りきった。
フィギュアの世界では、こけてもあきらめない、挫けない。
人それぞれの生き方の中で、挫けたりする事を乗り越えようという気持ちに共鳴。
3番目に真央が出てくる。
もう存在感が圧倒的。
16歳だし、細いのに。
あの伸びやかさが魅力。
しなやかに、鋭く、繊細にスケーティング。
ぎこちなさがない滑りは、彼女しかできない。
滑り終えて、スタンディングオベーション
珍しく、真央の瞳から涙が。


その直後の村主は、テレビチャンネルを変えるように、違う世界を演じようとした。
気持ちはわかる。才能ある後輩が伸び伸びと演じ、才能をフルに発揮してるのに、
小柄で、年長組みの村主、大人の女、ひょっとして演歌の世界を演じてるかと。
それでも、真央のスーパープレイの後で滑りにくかったみたい。
美姫が出てきた、真央の伸びやかさはないけど、妖艶な美しさと、大胆なジャンプで
攻めようとしてる。口に出す4回転ジャンプへの挑戦は、いつか成功させるだろう。
途中転倒、暫くして、右肩を触り、止めようとしたけど、思い直して滑る。
そこからが凄かった。どうみても痛くて痛くてしょうがない右腕も使い切って、
演じきった。この痛みを乗り越えた滑りは、大きな転機になるかもしれない。
舞ちゃんは、最後の選手と言う事で緊張したのか、今一だったけど、
柔らかい笑顔で滑り終えた。


素晴らしいライブだった。
前の大人の頭が邪魔をして、スケートリンクが良く見えなかった
孫娘87は、途中から私の膝に乗って応援してた。
眼を輝かせて。